整形外科手術

整形外科手術

手術におけるアプローチについて

当院では、犬や猫の骨折や脱臼などの疾患に対して、できるだけ動物に負担をかけずに治療を行うことを目指しています。
当院が大切にしている手術のポイントについて、ご説明します。

1. 動物に優しい手術を目指して

骨や関節の手術では、動物の体への負担を最小限にすることを重視しています。手術後の回復が早くなるよう、以下のことに気を付けています。

  • 安全な手術方法の選択:手術部位の骨や関節だけでなく、周りの大切な血管や神経を守ることを優先に考えます
  • 柔軟な対応:手術がスムーズに進むよう、状況に応じて複数の方法を組み合わせることもあります
  • 余計な負担を避ける:筋肉や周りの組織をできるだけ傷つけない手術を目指しています

2. 一匹一匹に合わせた手術計画

動物の大きさや体型、病気の種類に合わせて最適な方法を選びます。

  • 骨折や脱臼の手術:交通事故などで損傷が激しい場合には、適切なアプローチを計画し、手術を行います
  • 体型に合わせた配慮:肥満の動物や特定の犬種では、筋肉や脂肪の状態が手術に影響するため、慎重に計画を立てる必要があります
  • 感染リスクへの対応:傷や感染のリスクがある場合は、特別な洗浄や消毒などの感染対策が必要です

3. 術後のケアも大切に

手術が終わった後も、動物が元気に回復できるよう心がけてます。

  • リハビリテーションのサポート:手術後は、安静や適度な運動を通じて、鎮痛と回復を考えてます
  • 傷の管理:傷口が綺麗に治るような縫合と術後ケアを行っています
  • 痛みのコントロール:動物のストレスを減らすため、痛み止めや適切なケアを心がけてます

骨折手術後のケアについて

骨折手術後の管理は、スムーズな回復のために大切です。術後の基本的なケアについて、ご説明します。

1. 包帯やギプス

骨折後に包帯を検討します。
包帯は腫れを防ぎ、動物を快適にする効果があります。
固定強度が弱い場合は補助としてギプスや副木が役立ちます。
不動化は腫れや痛みを抑えます。

2. 術後の観察

術後には、次のような症状が出ることがあります。
食欲が落ちる、元気がない
軟便や体調不良
傷口の腫れや痛み
こうした症状が見られたら、対症治療を行うことで、早期で軽度に防ぐよう努めています。

3. 快適な環境作り

術後の回復には、環境の快適さも大きな影響を与えます。動物に優しく接したり、穏やかに話しかけたりすることで、精神的なストレスを軽減し、回復を促します。

手術後のリハビリテーション

手術を受けた後、早く元気を取り戻し、普通の生活を送れるようになるためにはリハビリテーションを行うことがあります。
逆に、やる必要のない場合や、やらない方が良い場合もあります。必ず獣医師の判断が必要です。
ここでは、リハビリの方法の一例を簡単にご紹介します。

1. 冷やす(冷却療法)

手術後すぐの72時間は、患部を冷やすと腫れや痛みを抑える効果があります。アイスパックや冷たいタオルを使い、1回5~15分を1日3~4回行うのが一般的です。

2. 温める(温熱療法)

手術から3日以上経過したら、患部を温めることで血の巡りを良くし、筋肉の緊張をほぐすことができます。ホットパックや温かいタオルを使うとよいでしょう。ただし、まだ腫れがある場合は控えてください。

3. マッサージ

優しく体を撫でたり揉んだりすることで、筋肉をリラックスさせ、血流を良くします。また、手術後の硬くなった部分が柔らかくなり、体の動きがスムーズになる効果も期待できます。動物が気持ちよさそうにしているかを確認しながら行いましょう。

4. ゆっくりと動かす練習(他動的運動)

動物自身では動かさず、飼い主さんがそっと足や関節を曲げ伸ばしする運動です。これは、関節が固まるのを防ぎ、元の動きやすさを保つために役立ちます。力を入れすぎず、無理のない範囲で行いましょう。

5. 自分で動く練習(能動的運動)

手術後少し回復してきたら、動物自身が動く練習を始めます。軽い散歩や、低い段差を上り下りする運動を取り入れると、筋力が戻りやすくなります。短い時間から始めて、様子を見ながら徐々に運動量を増やします。

リハビリを始めるタイミング

リハビリは、患部が安定したら始めるのが理想的です。
つまり無理せず、動物の状態を見ながら進めることが大切です。

注意点

リハビリを行う際は、次のことに注意しています。

  • 動物が痛がったり嫌がったりする場合は中止する。
  • 動物の回復具合に応じて無理のない方法を選ぶ。

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