犬における整形外科疾患の主な例
犬がかかる可能性のある整形外科疾患は、骨や関節、筋肉、腱、さらに背骨など、さまざまな部位にわたります。以下に代表的な疾患を挙げます。
1. 先天性疾患
- 股関節形成不全
股関節の構造が生まれつき正常でなく、不安定性や変形を引き起こします。特に大型犬で発症しやすい特徴があります。 - 肘関節形成異常
肘関節の骨が適切に形成されず、歩行時の違和感や関節炎の原因になります。 - 膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が正常な位置から外れる疾患で、小型犬に多く見られます。 - レッグ・カルベ・ペルテス病
大腿骨頭の血液供給が不足することで壊死が進行する疾患です。若齢犬に発症することが多いです。 - 骨端形成異常
骨の成長板に異常が起き、成長に支障をきたす疾患です。
2. 後天性疾患
外傷性疾患
- 骨折、靭帯損傷(特に前十字靭帯断裂)や関節の脱臼など、事故や衝撃によって生じます。
変性疾患
- 変形性関節症(関節炎)
年齢と共に進行しやすい疾患で、関節の軟骨が劣化し、痛みや炎症を伴います。 - 椎間板疾患
脊椎の間にある椎間板が損傷することで、痛みや神経症状を引き起こします。 - 腰部脊椎症
特に老齢犬で見られる背骨の変性疾患です。
感染性疾患
- 骨や関節に細菌が侵入することで起こる骨髄炎や感染性関節炎などが含まれます。
3. 腫瘍性疾患
- 骨肉腫
悪性の骨腫瘍で、骨の破壊や痛みを伴います。 - 軟骨肉腫
軟骨由来の腫瘍で、成長がゆっくりな場合もありますが、進行することがあります。
4. その他の疾患
- パンオステオイティス
若齢犬に起こる炎症性の骨疾患で、成長期に一時的に見られることが多いです。 - 関節内遊離体(関節鼠)
関節内に軟骨や骨片が遊離して存在する状態。 - 骨軟化症
栄養不足や代謝の問題が原因で骨が柔らかくなる疾患です。
猫における整形外科疾患の主な例
猫がかかる可能性のある整形外科疾患は、骨や関節、筋肉、腱、さらに背骨など、さまざまな部位にわたります。以下に代表的な疾患を挙げます。
1. 骨の疾患
- 骨折
高所から落下したり、事故に遭った場合に起こりやすい骨の損傷です。 - 骨粗しょう症
栄養不足やホルモンバランスの乱れが原因となることが多い病気です。 - 骨腫瘍(骨肉腫など)
骨に発生する腫瘍で、悪性の場合は進行が早い傾向があります。 - 骨髄炎
細菌などの感染による炎症性疾患です。 - 先天性骨異常
遺伝的要因により骨が脆弱であったり、異常な形状をしている疾患です。
2. 関節の疾患
- 変形性関節症
加齢や肥満に伴い、関節が劣化することで発症します。 - 関節脱臼
事故や衝撃で関節が正しい位置から外れる状態です。 - 膝蓋骨脱臼
膝蓋骨(膝のお皿)がずれる疾患で、遺伝や怪我が原因となります。 - 関節感染症
感染が原因で関節に炎症が起こる病気です。 - 自己免疫性関節炎
稀ですが、自己免疫の異常が関節に炎症を引き起こします。
3. 筋肉・腱の疾患
- 腱の断裂
外傷や負荷が原因で腱が切れる病気です。 - 筋炎
感染や自己免疫疾患が原因で筋肉が炎症を起こします。 - 腱鞘炎
腱を包む膜が炎症を起こし、痛みや腫れを伴う病気です。 - 筋肉の損傷
激しい運動や外傷がきっかけで起こることが多いです。 - 筋ジストロフィー
筋肉の働きが次第に弱まる遺伝性疾患です。
4. 背骨や椎間板の疾患
- 椎間板ヘルニア
椎間板が変形し、神経を圧迫して痛みや麻痺を引き起こす病気です。 - 脊椎骨折
高所からの転落や交通事故が主な原因です。 - 先天性の脊椎異常
猫種による遺伝的要因で発生することがあります。 - 脊椎炎
感染や炎症が原因で背骨に問題が生じる疾患です。
5. 股関節の疾患
- 股関節形成不全
股関節の構造に異常があり、関節が不安定になる病気です。 - 股関節脱臼
事故や衝撃によって起こることが多いです。
6. その他の疾患
- 四肢の奇形
出生時の異常や遺伝的要因が原因となる場合があります。 - 骨盤骨折
交通事故などの大きな衝撃で起こります。 - 断脚後の障害
切断手術後に他の足にかかる負担が増え、問題が生じることがあります。 - 外傷性損傷
咬傷や切り傷などの外的な要因による怪我です。
当院の整形外科治療実績
- 動物の指(指節骨・趾節骨)の骨折について 2025/07/19
- 犬や猫の「手の甲」「足の甲」の骨折について 2025/07/19
- 足首かかと(足根関節)の骨折について 2025/07/19