動物の骨折治療では、適切な整復と固定が早期回復の鍵を握ります。骨折の種類や部位、動物の体格、年齢に応じて選ばれる治療法や材料が異なるため、各症例に応じた最適なアプローチが重要です。
骨折固定に使われる主要な方法と材料
1. プレートとスクリューを用いた治療
骨折部位を正確に整復し、安定させるために用いられる方法です。特に力がかかる部位や、大型動物の治療に適しています。治療に使用されるプレートやスクリューには以下のような種類があります。
〈プレートの種類〉
- ダイナミックコンプレッションプレート(DCP)
- リミテッドコンタクトDCP(LC-DCP)
- リコンストラクションプレート
- ロッキングコンプレッションプレート(LCP)
- ミニプレートや顎顔面用プレート
〈スクリューの種類〉
- 皮質骨スクリュー
- 海綿骨スクリュー
- ロッキングヘッドスクリュー
- ラグスクリュー
- ポジションスクリュー
これらの器具を用いることで、骨折部位の強固な固定が実現し、治癒のプロセスをサポートします。
2. 髄内ピンとK-ワイヤーの活用
髄内ピンは骨の中心部(髄腔)を通して骨折部位を安定化させる方法で、主に長骨の治療に使用されます。一方、K-ワイヤーは小型の骨片や成長板骨折の固定に適しています。
3. 創外固定による治療
創外固定は、骨の外部からピンやクランプを利用して骨折を固定する方法です。開放骨折や感染リスクの高い場合に有効です。具体的には以下の器具を用います。
- 固定ピン
- ピン保持用クランプ
- 連結バー
4. 整形外科ワイヤーの使用
ワイヤーは小さな骨片の固定や特殊な方法(例:テンションバンド法)での固定に利用されます。代表的な使用方法として、サークラージワイヤーやテンションバンドワイヤーがあります。
5. インターロッキングネイルの適用
インターロッキングネイルは髄内ピンにロッキングスクリューを組み合わせ、長骨の安定した固定を実現します。この方法は、特に負荷のかかる部位で有効です。
治療に欠かせない手術器具
骨折治療を正確に行うためには、以下のような器具が必要です。
- 外科的アプローチを補助する器具
- 整復に使用する器具
- 骨接合用の専用器具
- 鉗子などの補助器具
これらを活用することで、治療の成功率が向上し、術後の合併症を防ぐことができます。