骨動物の腰骨(椎体)の骨折について

椎体骨折の原因、治療法、術後ケアについてご説明します。
椎体骨折とは
椎体とは、背骨を構成する骨の一部です。椎体が骨折すると、体の支えや脊髄の保護が損なわれ、深刻な症状を引き起こすことがあります。
代表的な症状として、以下が挙げられます。
- 歩行異常(足を引きずる、歩き方がぎこちない)
- 不自然な体勢や動きの制限
- 疲れやすさや活動性の低下
これらの症状がある場合、早急に動物病院にご相談ください。
椎体骨折の主な原因
椎体骨折は、以下のような状況で発生することがあります。
- 転倒や滑り
家庭内での滑りやすい床面での事故 - 高所からの落下
ソファや窓枠などの高い場所からの落下 - 喧嘩や衝突
他の動物との喧嘩や、遊んでいる際に激しくぶつかってしまった場合など - 交通事故
車やバイクとの接触事故 - 病的骨折
腫瘍、感染症、栄養不足など、骨の強度が低下している場合に発生する骨折
椎体骨折の治療
椎体骨折の治療は、症状の程度や動物の状態を評価し、慎重に選択します。
当院でご提案する主な治療法は以下の通りです。
- 保存療法
軽度の骨折では、装具を使用して動きを制限し、安静を保つことで自然治癒を促します。 - 外科手術
骨折が重度で脊髄への圧迫がある場合は、手術による治療を行います。
・スクリューやプレートによる固定
・ピンやワイヤーによる固定(特に小型犬や猫の場合)
・胸腰椎骨折にはテンションバンド法を適用 - 術後ケア
術後は、動物の痛みを軽減し、感染症を予防するために薬物療法を行います。また、適切なリハビリテーションを通じて回復をサポートします。
術後のリハビリとケア
術後のケアは回復を左右する重要なプロセスです。当院では、以下のポイントを重視しています。
- 体位変換:清潔な環境で定期的に体位を変えることで、褥瘡や筋力低下を予防します。
- 膀胱ケア:尿貯留の管理を行い、泌尿器系の感染症を防ぎます。
- リハビリテーション:軽度の運動や物理療法を通じて筋力と可動性を回復します。