猫の関節疾患一覧
猫によく見られる主な関節疾患をご紹介します。
1. 変形性関節症(Osteoarthritis)
変形性関節症は、加齢や外傷、肥満、関節の酷使などが原因で関節の構造が変化し、痛みや運動制限を引き起こす疾患です。股関節や膝、肘などに多く見られます。
2. 股関節形成不全(Hip Dysplasia)
股関節形成不全は、股関節が正常に形成されない状態で、生まれつきの異常として稀に猫でも見られます。症状には跛行や関節痛、運動嫌いなどがあります。
3. 膝蓋骨脱臼(Patellar Luxation)
膝の皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれる状態を膝蓋骨脱臼と呼びます。この疾患は先天的な異常や外傷が原因となることがあります。跛行や膝の動きに異常が見られます。
4. 骨関節炎(Arthritis)
骨関節炎は、関節に慢性的な炎症が生じる疾患です。運動不耐性や関節の硬直、痛みが主な症状です。
5. リウマチ性関節炎(Rheumatoid Arthritis)
自己免疫疾患の一種で、関節に炎症が生じるリウマチ性関節炎も猫に見られることがあります。多発性の関節痛や腫れ、運動困難が特徴です。
6. 感染性関節炎(Septic Arthritis)
細菌やウイルス感染によって関節に炎症が起こる状態を指します。外傷や全身性の感染症が原因となることが多く、関節の腫れや激しい痛み、発熱が見られます。
7. 多発性関節炎(Polyarthritis)
複数の関節が同時に炎症を起こす多発性関節炎は、自己免疫疾患や感染が原因となることがあります。関節の腫れや痛み、跛行が主な症状です。
8. 外傷性関節炎(Traumatic Arthritis)
高所からの落下や交通事故などの外傷が原因で関節に炎症が起こることがあります。急性の痛みや腫れが特徴です。
9. 関節内腫瘍
関節内やその周囲に腫瘍が発生することがあります。これにより腫れや痛み、運動制限が引き起こされます。
10. 椎間板疾患(Intervertebral Disc Disease)
脊椎の関節が影響を受ける疾患で、後肢の麻痺や痛み、運動困難を引き起こすことがあります。
11. 感染症に関連した関節炎
エルリヒア症やライム病などの感染症が原因で関節炎が発生する場合があります。
12. その他の関節疾患
- 異常な骨形成や関節形成異常(例:肘関節異形成)
- 肘軟骨異常症(Chondrodysplasia):骨や関節の成長に問題が生じる遺伝性疾患
- ガンマグロブリン血症による関節炎:免疫異常による炎症
猫の骨に関する整形外科疾患一覧
猫の骨の疾患は、事故や先天性の異常、加齢による変化など、さまざまな要因で発生します。
当院では、以下のような疾患に対応しています。
1. 外傷による疾患
高所からの落下や交通事故などにより、以下のような怪我が生じることがあります。
- 骨折(四肢や骨盤、顎骨など)
- 関節の脱臼(股関節や膝、肩など)
- 靭帯の損傷(例:十字靭帯の断裂)
2. 先天性や遺伝的な疾患
遺伝的要因や生まれつきの構造異常によって発症する疾患です。
- 股関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼(膝のお皿が外れる疾患)
- 骨異形成症(骨の発育異常)
3. 加齢や変性による疾患
加齢とともに進行する病気で、猫の生活の質に大きく影響します。
- 変形性関節症(関節のすり減りによる痛みや運動障害)
- 椎間板疾患(背骨の一部に起こる障害)
4. 感染症や炎症性疾患
細菌や免疫異常が原因で発生する疾患です。
- 骨髄炎(骨の感染症)
- 関節炎(細菌性または免疫性)
5. 骨や軟部組織の腫瘍
まれではありますが、腫瘍が原因で整形外科的な問題が発生することがあります。
- 骨腫瘍(例:骨肉腫)
- 軟部組織の腫瘍(筋肉や腱にできる腫瘍)
6. 成長期に起こる疾患
子猫の成長期に特有の骨や関節の病気もあります。
- 成長板損傷(骨の成長部分の損傷)
- 肘関節の発育異常
7. 代謝や栄養が関与する疾患
栄養不良や代謝異常による疾患が挙げられます。
- 骨軟化症(骨が柔らかくなる疾患)
- 骨粗鬆症(骨密度が低下する疾患)
猫の整形外科疾患の注意点
猫は痛みを隠す習性があるため、異常を見つけるのが難しい場合があります。
当院の整形外科症例について
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