インプラント除去について

インプラント除去について

インプラント除去について

医療用人工物(インプラント)除去について

手術で設置されるプレートやネジなどの医療用人工物(インプラント)は、骨折治療において重要な役割を果たします。しかし、治療の進展や患者動物の状態、合併症の有無に応じて、インプラントの「除去」や「調整」が必要となる場合があります。インプラント除去は、治癒の進行を慎重に見極めながら行われる重要なプロセスであり、手術後の適切な管理が成功の鍵となります。飼い主様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

インプラント除去が必要となる主な理由

インプラントは、骨折箇所を固定し、治癒をサポートするために使用されますが、以下のような理由で除去が推奨される場合があります。

  1. 成長期における骨の正常な発達を守るため
    若齢の動物では、骨が成長する過程でインプラントが骨の発達に影響を及ぼす可能性があります。これにより、成長の妨げや骨への過度な負担が生じるリスクがあるため、適切なタイミングで除去することが重要です。
  2. 合併症を回避するため
    インプラント周辺で炎症や感染症(骨髄炎)が起こったり、痛みが続いたり、X線で骨減少が確認された場合には、さらなる悪化を防ぐためにインプラントの除去が必要です。
  3. 特定の部位における問題を解消するため
    四肢の末端など、筋肉や皮膚が薄い部位では、インプラントが寒さを伝えることで跛行の原因となることがあります。このような場合には、インプラントの除去が適切です。

インプラント除去の適切なタイミング

インプラントを除去するタイミングは、骨折の治癒状況や治療方法によって異なります。

  • 二次治癒の場合
    骨が仮骨を形成しながら徐々に治癒する「二次治癒」では、インプラントを早く除去しすぎると、骨が十分な強度を得る前に負荷がかかり、再度の損傷につながる恐れがあります。このため、完全な治癒を待ち、通常は数ヶ月以上の期間を要します。
  • 一次治癒の場合
    骨が直接結合する「一次治癒」では、骨内部の構造が回復するまでインプラントが骨を保護します。このプロセスは時間を要し、成熟した骨では回復に1年以上かかることもあります。
  • 創外固定の場合
    創外固定装置を使用する場合は、骨の治癒状況に応じて段階的に調整を行いながら除去します。通常、4〜32週間の間で除去されますが、具体的なタイミングは骨折の種類や治癒の進展によって異なります。

インプラント除去後の注意事項

インプラントを除去した後は、以下のような管理が必要となります。

  1. 骨の弱点を補うケア
    インプラントの除去によって生じたスクリューやピンの穴は、骨の弱点となる場合があります。そのため、除去後6週間程度は体重をかける運動を控え、負担を軽減することが推奨されます。
  2. 外部サポートの活用
    必要に応じて副木などの補助具を利用し、骨への負担を最小限に抑えます。これにより、安全な回復が期待できます。
  3. 定期的な観察と治療の調整
    インプラントを除去した後、骨の強度を補助する目的で形成される骨隆起は、通常問題となることはなく取り除く必要はありません。ただし、治癒の進行を定期的に確認し、必要に応じた管理を行います。