停留睾丸について
胎児のときには、腎臓の後ろ側に位置している睾丸ですが、生まれると移動して通常、生後1ヶ月程度で陰嚢の中におさまります。
ところが、睾丸が正常な位置に降りてこず、腹部や鼠径部(足のつけ根)でとまり、陰嚢に入らないことがあります。これが停留睾丸です。
症状
生後1ヶ月を過ぎたオス犬の陰嚢を外から触ると、中に固いものが入っているのがわかります。この固いものが睾丸ですが、停留睾丸の場合は、陰嚢を触っても中には何も入っていません。片側だけのこともあれば、両方とも入っていない場合もあります。
停留睾丸に含まれる精子は通常生殖能力はありません。
片方が正常な位置にあれば、その精子は生殖能力を持ちますが、遺伝による可能性がある病気なので、交配はあまり勧められません。
停留睾丸そのものは、特に健康上問題はありません。
しかし、体内に留まっている睾丸は、後に腫瘍化する可能性が高くなるため、停留睾丸と気づいたときは、手術をして摘出したほうが安全です。
治療
交配の意思がない場合は、腫瘍化の可能性を考えて摘出手術を受けることが勧められます。